事業再構築補助金の実績報告を出したあと、「事務局から電話があったのに出られなかった」「差戻しで経費明細表を直すように言われたが、どの数字をどこに入れればいいのか分からない」というご相談を、熊本の事業者の方からいただきます。実績報告は、提出したあとも差戻しと再申請を何度かくり返すことが珍しくありません。
この記事では、事業再構築補助金の実績報告書等作成マニュアル(第10版・令和7年12月)、補助事業の手引き(第12・13回、1.2版・令和8年3月)、Jグランツ事業者マニュアル(実績報告・第4回公募以降、2026年3月18日)と交付規程にもとづいて、差戻しを受けたときの確かめ方と、経費明細表の税込み・税抜きの欄を整理します。
この記事のポイント
- 差戻しは、Jグランツの申請状況が「差戻し対応中」になり、担当者メールアドレスに通知メールが届く形で知らされます。事務局のコメントを見て直し、再申請します
- 差戻しで再申請期日が示されたら、その期日までに再申請します。直した書類のほか、様式第6の別紙1及び別紙4、別紙2及び別紙3、様式第7は毎回添付します
- 経費明細表の「(A)事業に要した経費」は税込み、「(B)補助対象経費」は税抜きです。Jグランツでは「補助事業に要する経費(実績)」と「補助対象経費(実績)」の欄に入れます
- 費目別支出明細書の金額は小数点以下3桁まで入るので、小数点とカンマを見間違えないようにします
- 「補助事業に要した経費」は、あとの事業化状況報告で収益納付を計算するときにも使われます
事務局からの電話に出られなかったら

電話に出られなかったときは、まずJグランツとメールを確かめます。Jグランツ事業者マニュアルでは、申請内容に不備があると事務局から差戻しを受けることがあり、そのときは申請時に「担当者メールアドレス」の欄に書いたメールアドレスに通知メールが届き、申請状況が「差戻し対応中」になります。事務局のコメントがある場合は、それを確かめて直し、再申請します。
補助事業の手引きも、補助金の交付にあたって、事業内容や経費を確かめるために事務局から連絡することがある、としています。そのうえで、登録しているメールアドレスが変わったときは必ず事務局に届け出るよう求めています。電話を受ける人と、Jグランツに入力できる人を社内で決めておくと、差戻しのたびに慌てずに済みます。
期限も確かめます。実績報告書等作成マニュアルは、差戻しの際に再申請期日を示している場合は、その期日までに再申請するよう求めています。交付規程は、期限内に実績報告書を出さなかった場合を、交付決定の取消しの理由の一つに挙げています。
- Jグランツのマイページで、申請状況が「差戻し対応中」になっていないかを見る
- 担当者メールアドレスに届いた通知メールと、事務局のコメントを読む
- 再申請期日が示されていないかを見て、それまでに直して再申請する
差戻しの再申請で出すもの

再申請では、不備を指摘された書類を出し直します。ただし、様式第6の別紙1及び別紙4、様式第6の別紙2及び別紙3、様式第7(取得財産等管理台帳)は、不備がない場合でもJグランツに必ず添付します。
様式第6の別紙1及び別紙4、別紙2及び別紙3は、ダウンロードしたときのファイル名を変えずに(受付番号や事業者名を書き足さずに)添付するよう、マニュアルに書かれています。経費明細表の数字を直したときは、同じ数字をJグランツの入力欄でも直す必要があるので、両方を見比べてから再申請します。
経費明細表の(A)は税込み、(B)は税抜き

様式第6の別紙2(経費明細表)の実績額には、(A)事業に要した経費(税込み)、(B)補助対象経費(税抜き)、(C)補助金の額(税抜き)の3つの欄があります。(A)と(B)は、様式第6の別紙3(費目別支出明細書)に入力すると自動で反映され、経費明細表の値は直接は直せません。(C)だけは手で入力します。
費目別支出明細書の「補助事業に要した経費」の欄には、補助事業に要した経費の全体の金額を税込みで入れます。「補助対象経費」の欄には、そのうち補助の対象として計上する額を税抜きで入れます。概算払いを受けた場合も、概算払いの金額を除かずに全額を入れます。
実績報告書等作成マニュアルと補助事業の手引きには、振込手数料を相手が負担した場合の例があります。請求額1,100,000円(税込み)を、振込手数料880円(税込み)を相手の負担にして振り込むと、相手に振り込まれるのは1,099,120円です。このとき、補助事業に要した経費(税込み)は1,099,120円、補助対象経費(税抜き)は999,200円になります。
| 欄 | 税 | 入れるもの |
|---|---|---|
| (A)事業に要した経費 | 税込み | 補助事業で払った全体の金額 |
| (B)補助対象経費 | 税抜き | そのうち補助の対象として計上する額 |
| (C)補助金の額 | 税抜き | (A)(B)をもとにした補助金の額(手入力) |
Jグランツのどの欄に入れるか

Jグランツの実績報告の画面では、「補助事業に要する経費(実績)」と「補助対象経費(実績)」と「補助金確定額」が必須項目です。経費明細表のいちばん下の合計行の(A)(税込み)を「補助事業に要する経費(実績)」に、(B)(税抜き)を「補助対象経費(実績)」に入れます。
様式では「補助事業に要した経費」、Jグランツでは「補助事業に要する経費」と、同じものでも呼び方が少し違います。どちらも税込みで、補助の対象外の部分を除く前の、払った全体の金額だと覚えておくと取り違えません。様式第6の別紙2及び別紙3でも、(A)には費目別支出明細書の「補助事業に要した経費(円)<支払額>」の列の合計が入る作りで、実績報告書等作成マニュアル(P.29)も、交付決定のときに補助対象経費に含まれなかった経費を(A)事業に要する経費に計上する場合の証拠書類の出し方を定めています。差戻しのコメントや電話で金額を示されたときも、その数字をそのまま打ち込まず、費目別支出明細書と支払いの記録から同じ数字になるかを確かめてから入れます。
小数点以下3桁と、端数の切り捨て

費目別支出明細書の「補助事業に要した経費」と「補助対象経費」の列は、小数点以下3桁まで入ります。実績報告書等作成マニュアルの記入例でも「55,000,000.000」のように小数点以下3桁まで書かれているので、電話で読み上げられた数字を書き取るときや、画面から写すときに、小数点とカンマを取り違えないよう注意します。
一方、経費明細表は「単位:円、小数点以下切り捨て」で、提出前のチェック欄にも「円未満の端数について『切り捨て』で記載していること」があります。実績額の(C)補助金の額が予算額を上回っていないこと、製品名(または型番)と単価・数量が見積書と一致していることも、同じチェック欄に並んでいます。
「補助事業に要した経費」は、あとの報告でも使われる

経費明細表の(A)は、実績報告が終わったあとも使われます。補助事業の手引きの収益納付の算定方法では、「控除額」を「補助事業に要した経費のうち、補助事業者が自己負担によって支出した額(補助事業に要した経費-補助金確定額)」とし、「累計支出額」にも補助事業に要した経費を含めています。
基準納付額は「(本年度収益額-控除額)×補助金確定額÷累計支出額」で計算します。補助事業に要した経費を実際より少なく書くと、控除額と累計支出額がどちらも小さくなり、収益が出た年の納付額が大きく出る方向に働きます。なお、交付規程では、事業化状況報告の決算が赤字の場合は納付が免除されます。
よくある質問
差戻しの再申請では、直した書類だけ出せばいいですか?
直した書類のほかに、様式第6の別紙1及び別紙4、別紙2及び別紙3、様式第7を必ず添付します。マニュアルは、不備がない場合でもこの3つはJグランツに添付して申請するよう求めています。
一度「申請する」を押したあとに、間違いに気づきました。
申請したあとは、その申請の内容を自分では直せません。Jグランツ事業者マニュアルは、修正や変更が必要な場合はコールセンターへ連絡するよう案内していて、連絡から数日後に修正できる状態になります。
補助金は、確定してからどれくらいで振り込まれますか?
補助金確定通知書を確かめてJグランツで精算払請求書を出し、請求書類に不備がないと確認されてから、8営業日程度で指定口座に振り込まれる予定とされています。
出典・参考
- 事業再構築補助金 実績報告書等作成マニュアル(第10版)
- 事業再構築補助金 補助事業の手引き(第12・13回)
- 事業再構築補助金 実績報告(Jグランツ事業者マニュアル・第4回公募以降)
- 中小企業等事業再構築促進補助金 交付規程
まとめ
事務局からの電話に出られなかったときは、Jグランツの申請状況と、担当者メールアドレスに届いた通知メール・事務局のコメントを確かめ、再申請期日までに直して出します。再申請では、様式第6の別紙1及び別紙4、別紙2及び別紙3、様式第7を毎回添付します。
経費明細表の(A)は税込みで払った全体の金額、(B)は税抜きで補助の対象として計上する額で、Jグランツの「補助事業に要する経費(実績)」「補助対象経費(実績)」に入れます。小数点以下3桁の数字の読み違いに気をつけ、(A)を少なく書かないことが、あとの収益納付の計算にも関わります。
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ノーサイド行政書士法人は、熊本の補助金申請を支援している行政書士法人です(経済産業省の認定経営革新等支援機関)。差戻しの内容と、経費明細表・費目別支出明細書・支払いの記録をお持ちいただければ、どこを直せばよいかを一緒に確かめます。
