「前に事業再構築補助金で賃上げを約束したけれど、達成できなかった。今回、持続化補助金に申請すると不利になるのか」というご質問をいただきます。熊本でも、事業再構築補助金を使った事業者の方が、次に持続化補助金を検討する場面が増えています。
答えは、事業再構築補助金のどの回で、加点を受けて採択されたかで変わります。この記事では、事業再構築補助金の各回の公募要領と、小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回の公募要領(第8版)にもとづいて、減点の決まりを整理しました。
この記事のポイント
- 事業再構築補助金の第12回・第13回の公募要領には、加点を受けて採択されたのに加点の要件を達成できなかった場合、他の補助金で大幅に減点するという決まりがあります
- 減点の期間は、事業化状況報告で未達を報告してから18か月です。対象の補助金に、小規模事業者持続化補助金が入っています
- 第1回〜第11回の公募要領には、この「他の補助金で減点する」決まりは書かれていません
- 災害などで事業に著しい損失を受けたなど、やむを得ない理由が認められた場合は、減点が免除されます
- 持続化補助金の賃上げ特例・賃上げ加点にも、同じ形の決まりがあります
減点の決まりはどこに書いてあるか

減点の決まりは、持続化補助金の公募要領ではなく、事業再構築補助金の公募要領に書かれています。第13回の公募要領の「減点項目等」には、加点を受けたうえで採択されたのに、申請した加点要件を達成できなかった場合は、事業化状況報告で未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請にあたって、正当な理由が認められない限り大幅に減点する、と書かれています。
対象の補助金として、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、サービス等生産性向上IT導入支援事業、小規模事業者持続化補助金、事業承継・引継ぎ補助金、成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)、中小企業省力化投資補助金、中小企業新事業進出促進補助金、中小企業成長加速化補助金が挙がっています。
持続化補助金の側でも、第20回の公募要領に、審査にあたって中小企業庁が所管する他の補助金の事務局が持っている申請者の申請・交付の情報を使う、と書かれています。事業再構築補助金での未達の情報は、持続化補助金の審査にも届くと考えてください。
どの回の事業再構築補助金が対象か

事業再構築補助金の事務局サイトに載っている第1回から第13回の公募要領を見ると、この決まりがあるのは第12回と第13回です。
| 回 | 他の補助金で減点する決まり |
|---|---|
| 第1回〜第11回 | 公募要領に記載なし |
| 第12回(2024年4月〜7月公募) | あり(加点要件の未達) |
| 第13回(2025年1月〜3月公募) | あり(加点要件の未達) |
第6回から第11回の公募要領には「減点」という言葉が出てきますが、過去に採択された事業者が再び申請するときの減点や、連携体の必要性が認められないときの減点で、「未達だったら他の補助金で減点する」という決まりではありません。ただし、第10回・第11回の大規模賃金引上促進枠のように、賃上げの要件を達成できないとその枠の補助金が支給されない、という決まりは別にあります。
対象になる加点

第12回・第13回の決まりは「加点を受けたうえで採択された」場合にかかります。賃上げに関する加点は、次の2つです。
- 大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点:事業実施期間終了後3〜5年で、給与支給総額の年平均成長率を3%・4%・5%以上にする(大きいほど追加で加点)
- 事業場内最低賃金引上げを実施する事業者に対する加点:事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上・50円以上にする
公募要領の文言は「申請した加点要件を達成できなかった場合」なので、賃上げ以外の加点で達成が求められるものも、文言上は同じ扱いになります。どの加点を受けて採択されたかは、申請の控え(電子申請の入力内容)で確かめます。
反対に、加点を受けずに採択された場合や、加点の決まりが無い回で採択された場合は、この「他の補助金で減点する」決まりはかかりません。
18か月はいつから数えるか

18か月は、事業化状況報告で未達が報告されてから数えます。事業再構築補助金の事業化状況報告は、補助事業を完了した日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間出すものです(第13回の公募要領)。どの年の報告で未達になったかで、18か月の始まりが変わります。
減点が免除されるのは、震災、風水害、落雷、火災その他の災害や盗難などで事業に著しい損失を受けたと認められる場合(国税通則法第46条)、その他これに準ずるものとして中小企業庁が認めた場合です。この場合は、事業化状況報告を出すときにその理由を説明し、やむを得ない理由と認められたときに限って減点が免除されます。
当法人では、事業再構築補助金を使った事業者の方から持続化補助金のご相談を受けたら、まず事業再構築補助金の回、受けた加点、直近の事業化状況報告の内容を見て、減点を受ける期間に入っていないかを確かめてから計画づくりに入ります。
持続化補助金の賃上げにも同じ決まりがある

持続化補助金の第20回の公募要領にも、同じ形の決まりがあります。賃金引上げ特例で申請した場合や、賃金引上げ加点を受けて採択されたのに、申請した賃上げ要件を達成できなかった場合は、補助事業終了から1年後に出す様式第14で未達が報告されてから18か月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請にあたって、正当な理由が認められない限り大幅に減点されます。
今回の持続化補助金で賃上げの特例や加点を使い、達成できなかった場合は、次にものづくり補助金など中小企業庁が所管する補助金に申請するときにも影響します。目先の上乗せや加点だけで決めず、2〜3年先の申請の予定もあわせて考えておくことをおすすめします。
よくある質問
事業再構築補助金の第5回で採択されて、賃上げが未達でした。持続化補助金で減点されますか?
第5回の公募要領には、未達の場合に他の補助金で減点するという決まりは書かれていません。この記事で説明した減点の決まりは、第12回・第13回の公募要領にあるものです。
何点減点されるのですか?
点数は公表されていません。公募要領には「大幅に減点」とだけ書かれています。
18か月が過ぎるまで、持続化補助金には申請できないのですか?
申請はできます。決まりは、申請を禁止するものではなく、審査で大幅に減点するというものです。ただ、大幅な減点を受けた状態で採択を目指すのは難しいので、18か月が過ぎるのを待つかどうかも含めて考えます。
出典・参考
- 事業再構築補助金 公募要領(第13回)
- 事業再構築補助金 公募要領(第12回)
- 事業再構築補助金 公募要領(第11回)
- 事業再構築補助金 公募要領(第5回)
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回公募 公募要領 第8版(商工会議所地区)
まとめ
事業再構築補助金で賃上げなどの加点を受けて採択され、その要件を達成できなかった場合、第12回・第13回の公募要領の決まりにより、事業化状況報告で未達が報告されてから18か月の間、持続化補助金を含む中小企業庁所管の補助金で大幅に減点されます。第1回〜第11回の公募要領には、この決まりはありません。
まずは、事業再構築補助金で採択された回と、受けた加点、事業化状況報告の内容を確かめてください。持続化補助金の賃上げ特例・加点にも同じ決まりがあるので、今回の申請で使うかどうかも、先の申請の予定とあわせて決めることが大切です。
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ノーサイド行政書士法人は、熊本の補助金申請を支援している行政書士法人です(経済産業省の認定経営革新等支援機関)。過去に使った補助金の申請控えと事業化状況報告をお持ちいただければ、今回の申請への影響を一緒に確かめます。
