令和8年熊本地震のあと、「売上が落ちたら100万円か200万円の給付金が出ると聞いた」というお話をよくうかがいます。この記事は、売上が落ちて困っている熊本の事業者さんに向けて、その給付金が本当にあるのかを、国と熊本県が公表している支援の一覧で確かめた結果をお伝えするものです。あわせて、よく聞く「100万円・200万円」と言われるものの中身と、補助金・融資との違い、いま使える支援を整理します。
この記事のポイント
- 2026年10月17日時点で、国(中小企業庁・経済産業省・内閣府)と熊本県が公表している令和8年熊本地震の事業者向け支援の中に、売上が減ったことに対して現金を配る「給付金」は見当たりません
- よく聞く「100万円・200万円」は、小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)の補助上限です。間接被害(売上減少)は100万円、直接被害は200万円です
- 補助金は、先に自分で払い、審査を経て後から一部が戻る制度です。売上が落ちただけで振り込まれるお金ではありません
- 売上が落ちた事業者がすぐ使えるのは、熊本県の新しい資金や日本政策金融公庫などの融資と、持続化補助金の災害支援枠(間接被害)です
売上の減少に対する給付金は、国と県の支援の中に見当たらない

結論から言うと、2026年10月17日時点で、売上が減った事業者に現金を配る給付金は、国と熊本県が公表している支援の中に見当たりません。中小企業庁の令和8年熊本地震のページは、支援を「相談窓口」「補助金等の救済措置」「資金繰り支援」に分けて載せており、給付金という項目はありません。
経済産業省が2026年8月28日に公表した「令和8年熊本地震で被災した事業者等への支援パッケージ」も、中身は施設・設備の復旧の補助、商店街の再建の補助、持続化補助金の災害支援枠、仮設施設の整備、そして融資・保証・返済条件の見直しです。内閣府の「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」でも、事業者向けの項目は、施設・設備の復旧の補助、資金繰りの支援、雇用調整助成金の特例措置などです。
熊本県が出している事業者向けの支援も、施設・設備の復旧を支える「くまもと事業者再出発支援補助金」と、資金繰りのための新しい資金(融資)です。どちらも、売上が減ったことだけを理由にお金が振り込まれる制度ではありません。
なお、この記事で確かめたのは国と熊本県の公表資料です。市町村が独自に見舞金などを設けていることもあり得るので、事業所のある市町村のページもあわせて確かめてください。
「100万円・200万円」は持続化補助金の災害支援枠の上限

よく聞く「100万円・200万円」にいちばん近いのは、小規模事業者持続化補助金の「一般型 災害支援枠(令和8年熊本地震)」です。公募要領では、補助上限は、事業用資産に損壊などの直接被害があった事業者が200万円、売上減少の間接被害があった事業者が100万円とされています。
| 被害の区分 | 補助上限 | どういう場合か |
|---|---|---|
| 直接被害 | 200万円 | 自社の事業用資産に損壊などの直接的な被害があった |
| 間接被害 | 100万円 | 令和8年7月から9月の任意の1か月の売上高が、前年同期と比べて20%以上減少している |
ただし、これは給付金ではなく補助金です。補助率は補助対象経費の3分の2以内(一定の要件を満たす事業者は定額)で、事業の立て直しのために使った経費の一部が、審査を経て後から戻ってくる仕組みです。売上が減ったことの証明(セーフティネット保証4号の認定書など)は、申請するための入り口であって、それだけでお金が出るわけではありません。
名前が似ているものに、新型コロナのときの「持続化給付金」があります。こちらは売上が減った事業者への給付金でしたが、申請受付はすでに終わっていて、令和8年熊本地震とは関係のない制度です。「持続化給付金」と「持続化補助金」が混ざって、「売上が落ちたら持続化で100万円・200万円もらえる」という話になっていることが多いように見えます。
災害支援枠の中身は、持続化補助金の災害支援枠の記事で詳しく説明しています。
給付金・補助金・融資の違い

似た言葉ですが、3つは中身がまったく違います。お金が入る時期と、返す必要があるかで比べると次のとおりです。
| 給付金 | 補助金 | 融資 | |
|---|---|---|---|
| 何に対して出るか | 条件に当てはまること(売上の減少など) | 計画に沿って使った経費 | 返済の見込みがあること |
| お金が入る時期 | 申請して認められれば入る | 経費を払い、報告と検査を終えた後 | 審査が通れば、先に入る |
| 返す必要 | なし | なし(ルール違反があれば返還) | あり |
| 令和8年熊本地震で | 見当たらない | 再出発支援補助金、持続化補助金の災害支援枠など | 県の新しい資金、公庫の災害復旧貸付など |
いま手元の資金が足りないという悩みに、先にお金が入るのは融資だけです。補助金は、使った経費の一部が後から戻るものなので、補助金だけをあてにして資金繰りを考えると、支払いの時期に足りなくなります。
売上が落ちた事業者が、いま使える支援

売上が落ちた事業者が使える支援は、大きく融資と補助金です。まず、すぐに資金が要るときは融資です。
- 熊本県の新しい資金:金融円滑化特別資金(令和8年熊本地震枠)と小規模事業者おうえん資金(令和8年熊本地震分)は、罹災証明書・被災証明書がなくても、地震の影響で平均売上高等が減っている(減る見込みの)事業者が対象です(おうえん資金は、従業員数と既存の保証付き融資残高の条件もあります)。保証料率は年0.00%(県補助後)です。詳しくは熊本県の新しい資金の記事にまとめています
- セーフティネット保証4号:指定された地域で、地震の影響で売上高等が減っている事業者を対象に、信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の100%を保証します
- 日本政策金融公庫・商工組合中央金庫の災害復旧貸付:地震で被害を受けた事業者向けに、運転資金や設備資金を融資します
- 小規模企業共済の災害時貸付:災害救助法が適用された地域で被害を受けた共済契約者に、原則として即日で低利の貸付が行われます
次に、事業の立て直しに使える補助金です。売上の減少(間接被害)で申請できるのは、持続化補助金の災害支援枠です。1次公募の申請受付は令和8年10月16日で締め切られていて、2次公募は事務局のページで追って案内するとされています。
被災した建物や設備を直す費用は、熊本県のくまもと事業者再出発支援補助金の対象です。こちらは売上の減少ではなく、施設・設備の被害が前提になります。
補助金は「先に払って、あとで一部が戻る」

補助金を給付金と同じように考えていると、資金繰りで困ることになります。持続化補助金の災害支援枠の公募要領にも、補助事業を進めるには自己負担が必要で、補助金は後払いだと書かれています。
流れは、申請して採択され、見積書などを出して交付決定を受け、経費を払い、実績報告をして、検査で金額が確定してから振り込まれる、という順番です。審査があるので不採択になることもあり、採択されても申請した額から減ることがあります。
ですから、補助金を使うときは、経費をいったん払えるだけの資金(自己資金か融資)を先に用意しておくことになります。融資で資金繰りを整え、そのうえで補助金で事業の立て直しを進める、という順番で考えると無理がありません。
よくある質問

売上が30%落ちています。給付金を申請できますか?
国と熊本県が公表している令和8年熊本地震の事業者向け支援の中に、売上の減少に対する給付金は見当たりません(2026年10月17日時点)。売上の減少を入り口に使えるのは、熊本県の新しい資金などの融資と、持続化補助金の災害支援枠(間接被害)です。
持続化補助金の災害支援枠で、売上が落ちた分を補ってもらえますか?
補ってもらえません。災害支援枠は、事業の立て直しのための取組に使った経費の一部を補助するもので、減った売上を埋めるお金ではありません。公募要領でも、自ら作った経営計画にもとづく事業再建の取組を支援するもので、事業再建とは関係のない復旧・買換えの費用を補助するものではないとされています。
雇用調整助成金は給付金ではないのですか?
雇用調整助成金は、事業活動の縮小で従業員を休ませたときなどに、事業者が払った休業手当などの一部を助成するものです。令和8年熊本地震では特例措置が講じられていますが、売上が減ったことに対して出るお金ではありません。
家が全壊しました。事業のお金とは別に何かありますか?
住まいの被害については、住居が全壊した世帯などに最大300万円の被災者生活再建支援金が支給されます。これは住まいの再建のための支援で、事業の売上に対するものではありません。
出典・参考
- 中小企業庁「令和8年熊本地震に伴う災害関連情報」
- 経済産業省「令和8年熊本地震で被災した事業者等への支援パッケージ(経済産業省関連)」(2026年8月28日)
- 経済産業省「令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います」
- 内閣府「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」(本文)
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 災害支援枠(令和8年熊本地震)> 1次公募 公募要領(第2版)
- 熊本県「令和8年熊本地震に伴う中小企業者向け新資金について」
- 経済産業省「持続化給付金制度の概要」
まとめ
令和8年熊本地震で売上が落ちた事業者に、100万円・200万円の給付金が出るという話は、国と熊本県が公表している支援を見る限り、事実ではありません。よく聞く「100万円・200万円」は、持続化補助金の災害支援枠の補助上限で、使った経費の一部が後から戻る補助金です。
売上が落ちて資金が足りないときに、先にお金が入るのは融資です。熊本県の新しい資金は、売上の減少でも使えます。融資で資金繰りを整えたうえで、補助金で事業の立て直しを進める、という順番で考えてください。
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ノーサイド行政書士法人は、熊本の補助金申請を支援している行政書士法人です(経済産業省の認定経営革新等支援機関)。地震のあと、どの補助金が使えるか、融資とどう組み合わせるかのご相談をお受けしています。
