令和8年熊本地震で被災された皆さまへ

このたびの地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。事業の再建に使える補助金・融資の解説をまとめました。

会社を買う代金に事業承継・M&A補助金は使える?使える費用と枠【熊本】

「知り合いの会社を買い取りたい。買う代金に使える補助金はありますか」というご相談を、熊本の経営者の方からいただくことがあります。会社や事業を買うとき、いちばん大きな出費は株式や事業の買取代金ですが、事業承継・M&A補助金はその代金そのものには使えません。

この記事では、事業承継・M&A補助金の16次公募の公募要領(各枠 Ver.1.0・2026年9月)にもとづいて、買取代金が対象にならない理由と、会社を買うときに補助の対象になる費用を整理します。制度全体と4つの枠の概要は、事業承継・M&A補助金のページにまとめています。

この記事のポイント

  • 株式や事業を買い取る代金そのものは、どの枠でも補助の対象になりません
  • 買う前・買うときの専門家の費用(FA・仲介、デュー・ディリジェンスなど)は、専門家活用枠(買い手支援類型)の対象になります
  • 買ったあとの統合の専門家費用や設備投資は、PMI推進枠の対象になります。不動産の購入費は対象外です
  • 親族や従業員に継ぐ事業承継促進枠でも、前の経営者に払う譲受の費用は対象外です
  • 補助金は事業が終わってからの精算払いなので、買取代金とは別に、補助の対象になる費用も先に払える資金が要ります

買取代金そのものには使えない

事業承継・M&A補助金で対象にならない買取代金と、対象になりうる費用の比較

株式や事業を買い取る代金そのものは、事業承継・M&A補助金のどの枠でも補助の対象になりません。各枠の公募要領は、補助の対象になる経費の区分を決めていて、その中に株式や事業の譲渡代金は入っていません。

たとえば、会社を買う側が使う専門家活用枠(買い手支援類型)は、「事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り受ける予定の中小企業等を支援する類型」です。それでも、補助の対象になる経費は、謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料・保険料(ほかに廃業費)に限られています。公募要領は、M&Aの実現(クロージング)を、株式や事業の引渡しと譲渡代金の支払いなどによって経営権や所有権の移転が終わることと定めていますが、その代金を補助するとは書いていません。

費用補助の対象になるか
株式・事業の買取代金対象外(どの枠でも)
買う前・買うときの専門家費用(FA・仲介、デュー・ディリジェンスなど)専門家活用枠の対象
買ったあとの統合の専門家費用PMI推進枠(PMI専門家活用類型)の対象
買ったあとの設備投資(不動産の購入費は除く)PMI推進枠(事業統合投資類型)の対象

買う前・買うときに使える費用(専門家活用枠)

専門家活用枠の買い手支援類型で補助の対象になる主な費用

会社や事業を買う前・買うときにかかる専門家の費用は、専門家活用枠(買い手支援類型)の対象になります。補助率は補助対象経費の3分の2以内、補助上限額は600万円で、デュー・ディリジェンス(DD)を行う場合は200万円が加算されます。

  • FA(ファイナンシャルアドバイザー)・M&A仲介の費用:「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者の支援に限ります
  • デュー・ディリジェンス:買う会社の財務や法務に、決算書だけでは分からない問題が隠れていないかを専門家に調べてもらう費用です
  • M&Aのマッチングサイトの登録料・利用料・成約手数料(システム利用料)
  • 表明保証保険の保険料:最終契約の表明保証の違反があとで分かったときの損害を補償する保険です

当法人では、買取代金に補助が当たらないと分かった時点で、「買う前に相手の会社をきちんと調べる費用」には補助が使えることをお伝えしています。土地や建物が多い会社、借入や保証の中身が見えにくい会社ほど、DDの意味は大きくなります。

買ったあとに使える費用(PMI推進枠)

PMI推進枠の2つの類型で補助の対象になる費用と、対象にならない費用

買ったあとに、引き継いだ会社や事業を自社とうまく一つにしていく取組(PMI)の費用は、PMI推進枠の対象になります。PMI推進枠には2つの類型があります。

  • PMI専門家活用類型:統合を進めるための専門家の費用(謝金・旅費・委託費)
  • 事業統合投資類型:統合の効果を上げるための設備投資など(設備費・外注費・委託費)

事業統合投資類型でも、不動産の購入費と中古品の購入費は対象外です。委託費のうち、M&A仲介手数料・DD費用・M&Aコンサルティング費用・PMI専門家への手数料も対象外とされています。また、事業統合投資類型は、専門家活用枠(買い手支援類型)とも、PMI専門家活用類型とも、同じ公募回には申請できません。買う前の専門家費用と買ったあとの設備投資の両方を考えているときは、どの回でどちらを申請するかを先に決めておく必要があります。

親族・従業員に継ぐときも同じ(事業承継促進枠)

事業承継促進枠でも前の経営者に払う譲受の費用は対象外であることの説明

親族や従業員が会社を継ぐときに使う事業承継促進枠でも、前の経営者に払う代金は対象外です。公募要領は「事業承継に際して被承継者に支払う譲受費用(土地、資産購入費用等)は補助対象経費とならない」とし、被承継者に払う費用は原則として補助対象外としています。

16次公募のよくある質問も、被承継者から譲り受ける資産や土地などの購入費用は補助対象にならず、事業承継促進枠は承継を前提に後継者が取り組む生産性向上などを補助するもので、事業承継そのものにかかる費用は対象外だと説明しています。

補助金は精算払い。期間内の契約と支払いが条件

16次公募の申請期間と、交付決定から精算払いまでの決まり

補助の対象になる費用も、交付決定日以降に契約・発注し、補助事業期間内に支払いまで終えたものに限られます。補助金は、事業が終わってから額を確定したあとの精算払いです。買取代金はもちろん、専門家への費用も、いったん自社で払う資金が要ります。

16次公募の申請受付期間は2026年10月2日(金)から11月6日(金)17時までで、補助事業期間は2027年1月(下旬予定)から14か月以内とされています。交付決定より前に専門家と契約した費用は対象にならないので、M&Aの話を進める時期と補助金の日程を合わせて考えます。

よくある質問

会社の買取代金と事業承継・M&A補助金についてのよくある質問と答え

買取代金の一部だけでも補助になりますか?

なりません。株式や事業の譲渡代金は、どの枠の補助対象経費の区分にも入っていません。

買う会社の土地や建物の分は、設備投資として申請できますか?

できません。PMI推進枠の事業統合投資類型でも、不動産の購入費は対象外です。対象になるのは、統合の効果を上げるための新築・増築・改築などの工事や、機械装置などの調達です。

買う前の専門家費用と、買ったあとの専門家費用を同じ回に申請できますか?

できます。専門家活用枠(買い手支援類型)と、PMI推進枠のPMI専門家活用類型は、同じ公募回に同時申請できます。一方、事業統合投資類型は、専門家活用枠(買い手支援類型)とも、PMI専門家活用類型とも、同じ回には申請できません。

出典・参考

まとめ

会社や事業を買い取る代金そのものは、事業承継・M&A補助金のどの枠でも対象になりません。補助が使えるのは、買う前・買うときの専門家費用(専門家活用枠)と、買ったあとの統合の専門家費用や設備投資(PMI推進枠)です。親族や従業員に継ぐときも、前の経営者に払う代金は対象外です。

補助金は精算払いで、交付決定より前に契約した費用は対象になりません。買取代金の資金計画とは別に、補助の対象になる費用をいつ、どの枠で申請するかを、M&Aの日程と合わせて決めてください。

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ノーサイド行政書士法人は、熊本の補助金申請を支援している行政書士法人です(経済産業省の認定経営革新等支援機関)。会社や事業の譲り受けを考えている段階で、どの費用にどの枠が使えるか、申請の時期をどう合わせるかを一緒に整理します。

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