令和8年熊本地震で被災された皆さまへ

このたびの地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。事業の再建に使える補助金・融資の解説をまとめました。

熊本の再出発支援補助金|同じ敷地の何棟か、修理と建て替えを混ぜられる?

令和8年熊本地震で、同じ敷地にある事務所・工場・倉庫などが何棟も被災した、というご相談が続いています。そのとき多いのが、「この棟は直して使い、あの棟は取り壊して建て替えたい。1つの補助金の申請の中で、修理と建て替えを混ぜてもよいのか」というご質問です。

この記事では、くまもと事業者再出発支援補助金で、敷地に何棟もある事業者が、修理する棟と建て替える棟を組み合わせるときの考え方を、熊本県の手引き・Q&A・交付申請書記載例をもとに整理しました。補助率や要件など制度の全体像は「【令和8年熊本地震】くまもと事業者再出発支援補助金の補助率・要件・注意点」の記事にまとめています。

この記事のポイント

  • 申請は事業者単位で、複数の事業所・支店の分も合算して申請します。補助事業計画書は、施設ごとに「修繕費」か「建替費」かを選んで1行ずつ書く作りです
  • 建て替えを「元に戻す工事(原状回復)」として扱えるかは、棟ごとに見ます。「全壊」「大規模半壊」の判定がない棟は、修繕で元に戻す費用が上限です
  • 建て替えて前より広くなる棟は、元に戻す費用までが対象です。県の「按分計算書2」の計算では、前の延床面積 ÷ 新しい延床面積で割り戻します
  • プレハブ(土地に固定するものに限る)や中古物件への置き換えもできますが、修繕で元に戻す費用が上限で、取り壊しの費用は対象外です
  • 同じ敷地の中で建て替える場合は、取り壊しの費用が対象外になる場合があります

計画書は、施設(棟)ごとに「修繕」か「建替」かを選ぶ作り

申請は事業者単位で合算し、補助事業計画書では施設ごとに修繕か建替かを選んで書く作りであることを示す図

熊本県の補助事業計画書の「補助対象経費計算表」は、申請する施設・設備ごとに1行ずつ、経費の区分を「施設・修繕費」「施設・建替費」「設備・修理費」「設備・入替費」の中から選んで書く作りです。修繕か建替かは、計画書の上では施設(棟)ごとに選ぶ形になっています。

申請は「事業者」単位です。Q&A(3-2)では、補助の対象になる複数の事業所・支店の分を、全部合算して申請する必要があるとされています。当法人では、この2つの決まりに沿って、同じ敷地の何棟かも、棟ごとに修繕か建替かを書き分けたうえで1つの申請にまとめる形で組み立てています。申請の回数は原則1回で、施設と設備で分けるなど分割して申請する場合も、原則として上限2回です。

見積書と図面は、どの棟のものかが分かるようにそろえます。申請書類における留意事項では、補助対象経費計算表に書いた施設の番号を、見積書の余白と平面図の余白に書くこととされています。棟が多いときほど、写真・見積・図面に同じ番号を振っておくと、審査で取り違えが起きにくくなります。

建て替えられるかは、棟ごとに見る

建て替えを元に戻す工事として扱える3つの場合と、当たらない棟の扱い

建て替えを「元に戻す工事(原状回復)」として申請できるのは、次のどれかに当たる場合です。

場合中身
罹災証明書の判定市町村の罹災証明書で「全壊」または「大規模半壊」と判定されている
建築士の報告書罹災証明書に判定区分が書かれていない場合や、罹災証明書が出せない場合に、建築士が「建物被災状況報告書」(県の様式)で「大規模半壊相当以上」と判定している
見積の比較修繕より建て替えのほうが安い(修繕の見積書もあわせて出す)

この判定は、棟ごとに見ていきます。建築士の「建物被災状況報告書」も、県の様式に、複数の建物の被災状況を報告する場合は建物1棟につき1部ずつ作るよう書かれています。同じ敷地の中でも、大規模半壊の棟は建替費、半壊の棟は修繕の見積、というように、基準になる金額が棟ごとに変わります。

どれにも当たらない棟(半壊など)でも、修繕で元に戻す費用を上限にして、建て替えることはできます。この場合は、実際に行う建て替えの見積とは別に、修繕の見積書を出します。修繕の見積を上回る分は、補助の対象になりません。

建て替えて広くなる棟は、元に戻す費用まで

建て替えで延床面積が増えたときの、按分計算書2による割り戻しの計算(前の延床面積÷新しい延床面積)

建て替えで前より広い建物にすることもできます。ただし補助の対象は元に戻す費用までなので、規模を広げる建替では、実際の工事の見積とは別に、同じ規模で建て替える場合(原状回復)の見積書も出すのが基本です。

元に戻す工事の見積を別に取らず、実際に行う工事の見積だけで計算する場合は、県の「按分計算書2」を使います。交付申請書記載例では、建築単価が同じとみなせる場合の計算として、工事費の区分ごとに「前の建物の延床面積 ÷ 新しい建物の延床面積」を掛けて、元に戻す費用を出す方法が示されています。たとえば、全部を事業に使っている延床面積100㎡の倉庫を150㎡に建て替えて、工事費が3,000万円(税抜)なら、元に戻す費用は3,000万円 × 100 ÷ 150 = 2,000万円として扱われます。建築単価が同じとみなせない場合は、元に戻す工事と実際の工事の見積書をそれぞれ取って「按分計算書1」で計算します。

注意したいのは、何棟かを取り壊して1棟にまとめる場合です。記載例では、複数棟を1棟にまとめる場合や、併用住宅から事業用だけの建物にする場合は、県の按分計算書では適切に計算できない場合があるとされています。棟をまとめる計画は、前の棟ごとの面積と被害の判定を並べて、どこまでが元に戻す費用かを先に組み立てておく必要があります。

プレハブやコンテナに置き換えるとき

プレハブ・中古物件で復旧するときの上限と、対象にならない費用

修繕や建て替えの代わりに、プレハブや中古物件で復旧することもできます。Q&Aでは、被災した施設を修繕で元に戻す費用を上限に、プレハブ(土地に固定するものに限る)または中古物件により復旧できるとされています。

項目プレハブ・中古物件で復旧するとき
上限被災した施設を修繕で元に戻す費用
プレハブ土地に固定するものに限る
取り壊し被災した施設の解体費用は対象外
広さ被災した施設より広いときは、被災した施設の面積の分だけ

手引きとQ&Aには、「コンテナ」や「トレーラーハウス」という言葉は出てきません。補助の対象になる施設は、手引きで「事業用の施設(店舗、事務所、工場、倉庫等の建物)」とされ、プレハブも土地に固定するものに限られています。コンテナを使う計画について、当法人では、土地に固定して建物として使うものかどうかを図面と見積で確かめ、手引きの「施設」やQ&Aのプレハブの書き方に当てはまるかを見てから組み立てています。土地に固定せずに置くだけのものは、プレハブの「土地に固定するものに限る」に当てはまらないおそれがある、というのが当法人の見方です。

取り壊し・書類も棟ごとにそろえる

複数の棟を申請するときに棟ごとにそろえる書類(登記事項証明書・写真・見積書・図面・配置図)

取り壊しの費用は、現地で建て替える場合に、復旧に付随する費用として対象になります。ただし手引きでは、現地での建て替えでも、同じ敷地の中(同じ住所など)で建て替える場合には、解体費用が対象外になる場合があるとされています。同じ敷地の中で建て替える計画は、取り壊しの費用が対象にならない場合も見込んでおくと安全です。移転して建て替える場合は、元の施設の取り壊しの費用は原則として対象外です。

書類は、復旧する棟ごとにそろえます。

  • 建物の登記(現在)事項証明書。登記がない棟は、固定資産課税台帳証明書または名寄帳の写し
  • 棟ごとの被害の写真(施設ごとに番号と名前を付け、どの方向から撮ったかを図面に書き込む)
  • 棟ごとの見積書(修繕、建替、元に戻す工事)。余白に計画書の施設の番号
  • 平面図(建替は前と後の両方)、外壁を直す・建て替える棟は立面図
  • 浄化槽・空調などの建物附属設備や、駐車場・井戸などの構築物も直すときは、敷地のどこを直すかが分かる配置図

事業に使っていない棟(住宅など)は対象外です。店舗兼住宅のように事業用と住まいが一体になっている棟は、事業用の部分だけが面積で按分して対象になります。

よくある質問

よくある質問:修理する棟と建て替える棟があるときの申請のまとめ方

4棟のうち1棟だけ建て替えます。ほかの棟の修理と同じ申請でよいですか?

当法人では、同じ申請に入れる形で組み立てています。Q&Aでは、申請は事業者単位で、複数の事業所・支店の分も全部合算して申請することとされ、補助事業計画書も施設ごとに「施設・修繕費」か「施設・建替費」かを選んで書く作りになっているためです。

修理の棟だけ先に申請して、建て替える棟はあとから申請できますか?

分けられる回数は限られます。申請は原則1回で、施設と設備で分けるなど分割する場合も、原則として上限2回です。手引きとQ&Aに挙がっている分け方の例は「施設と設備」なので、何棟もあるときは、修理する棟と建て替える棟を最初の申請にまとめられるよう、見積と図面の段取りを先に組んでおきます。

中規模半壊の棟を取り壊して、プレハブを建てたいです。

できます。上限は、その棟を修繕で元に戻す費用です。プレハブは土地に固定するものに限られ、被災した棟の解体費用は対象になりません。修繕の見積書もあわせて出します。

建て替える棟が、前より広くなります。

元に戻す費用までが対象です。元に戻す工事の見積を別に取って「按分計算書1」で計算するか、実際の工事の見積だけで計算する場合は、「按分計算書2」の計算で「前の延床面積 ÷ 新しい延床面積」を掛けて、元に戻す費用を出します。

出典・参考

手引き・Q&A・様式は、県のページで随時更新されます。申請の前に、熊本県のページで最新の内容を確かめてください。

まとめ

補助事業計画書は施設ごとに修繕か建替かを選ぶ作りで、申請は事業者単位で合算します。当法人では、同じ敷地に何棟もあるときも、棟ごとに直し方を書き分けて1つの申請にまとめています。建て替えを元に戻す工事として扱えるかは棟ごとに決まり、「全壊」「大規模半壊」の判定がない棟は、修繕で元に戻す費用が上限です。

建て替えて広くなる棟は元に戻す費用までが対象で(按分計算書2の計算では面積で割り戻します)、プレハブへの置き換えは土地に固定するものに限られます。何棟かを1棟にまとめる計画や、同じ敷地の中での建て替えは、取り壊しの費用や按分の計算が単純にいかないので、棟ごとの面積・被害の判定・見積を先に並べてから組み立てるのが近道です。

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