「新しい売り先を開きたいが、何から手をつければいいか分からない」「展示会に出てみたいが、出展料が重い」というご相談を、熊本の経営者の方からいただきます。販路開拓には、相談先と補助金の両方がありますが、補助金ごとに対象になる人・費用・時期が細かく決まっています。
この記事では、熊本の中小企業・小規模事業者が販路開拓に使える国・熊本市・県の支援を、相談先とあわせて整理します。制度の数字と締切は、2026年10月30日に取り直した各制度の原文にもとづいています。
この記事のポイント
- 売り方や商品の見せ方の相談は、熊本県よろず支援拠点が「販売促進・広報」の支援として受けています
- 小規模事業者持続化補助金の第20回は、補助率3分の2・補助上限50万円で、申請受付は2026年11月5日(木)から12月15日(火)17:00までです
- 持続化補助金の広報費とウェブサイト関連費は、どちらも申請額の上限が30万円で、それだけでの申請はできません
- 熊本市内の事業者が県外やオンラインの展示会に出るときは、熊本市の展示会等出展支援事業補助金(2分の1以内・上限20万円・先着順)があります
- ものづくりの企業は、くまもと産業支援財団のビジネスマッチングや展示会出展の支援も使えます
販路の相談先は「売り方」と「取引先探し」で分かれる

販路開拓の相談先は、売り方や商品の見せ方を練りたいのか、企業どうしの取引先を探したいのかで分かれます。
売り方や商品の見せ方の相談は、熊本県よろず支援拠点が受けています。公式ページでは「販売促進・広報」の支援として、ブランド・コンセプト設計、商品パッケージデザインの企画、販売促進ツールの企画、プレスリリースの作成、ホームページの作成の支援などが挙げられています(所在地 上益城郡益城町田原2081-10、電話 096-286-3355、開設時間 9:00〜17:30、土日・祝日・年末年始は休業)。
製造業などで、企業から仕事を受ける取引先を増やしたいときは、公益財団法人くまもと産業支援財団のビジネスマッチング推進室が窓口です。財団は、熊本県内のものづくり中小企業の新しい顧客の開拓のために、職員や東京・大阪のビジネスエージェントによる案件の紹介と商談会を通じて、県内外の大手メーカーなどとの取引のあっせんを行っています(電話 096-289-2437)。
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 売り方・商品の見せ方・広報 | 熊本県よろず支援拠点 |
| 企業との取引先を増やしたい(ものづくり) | くまもと産業支援財団 ビジネスマッチング推進室 |
| 持続化補助金を使って販路を開きたい | 地域の商工会・商工会議所 |
国の補助金:小規模事業者持続化補助金(第20回)

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自ら作った経営計画にもとづいて行う販路開拓などの取組の費用の一部を補助する国の制度です。公募要領は、販路開拓の取組の例として、新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や、新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発を挙げています。
| 項目 | 第20回公募(一般型 通常枠) |
|---|---|
| 補助率 | 3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3) |
| 補助上限 | 50万円(インボイス特例は50万円、賃金引上げ特例は150万円、両方なら200万円の上乗せ) |
| 申請受付 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00 |
| 事業支援計画書(様式4)の発行受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 事業実施期限 | 2028年3月31日 |
対象になるのは小規模事業者で、常時使用する従業員の数が、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下であることが要件です(申請時点の人数で判断します)。会社の役員や同居の親族従業員は、この人数に含みません。
補助の対象になる経費は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインの展示会・商談会を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の8つです。費用は交付決定日以降に発生し、補助事業の期間中に支払いを終えたものに限られます。
申請は電子申請システムだけで受け付けていて、地域の商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要です。様式4は、受付締切の後はどんな理由があっても発行されません。
持続化補助金で、広告やホームページに使えるお金

チラシやホームページは販路開拓の中心になる費用ですが、第20回の持続化補助金では、この2つに決まりがあります。
- 広報費(パンフレット・ポスター・チラシ・インターネット広告・SNS広告など):補助金の交付申請額の上限は30万円(税込)です。広報費だけでの申請はできません
- ウェブサイト関連費(販路開拓のためのウェブサイト・ECサイト・システムの開発や更新など):補助金の交付申請額の上限は30万円(税込)です。ウェブサイト関連費だけでの申請もできません
- 広報費は、補助事業計画にもとづく商品・サービスの広報が対象です。商品・サービスの宣伝を目的としない会社案内や求人広告は対象外です
- 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページは、対象になりません
ホームページを作り直すだけ、チラシを刷るだけ、という計画では申請できません。新しい売り先に向けた取組(商品の改良、展示会への出展、販売の仕組みづくりなど)の中に、広報やホームページを位置づけて計画を組みます。
展示会に出るなら:熊本市の展示会等出展支援事業補助金

本社か、出展する事業を行う事業所が熊本市内にある中小企業・小規模企業は、熊本市の展示会等出展支援事業補助金を使えます。2026年度の第2回公募は、2026年10月1日(木)から2027年2月12日(金)まで、先着順で受け付けています。予算額に達した時点で、募集期間の途中でも締め切られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の展示会 | 熊本県外またはオンラインで行われる展示会・見本市・商談会など(即売できるものは対象外) |
| 対象の開催期間 | 2026年10月6日(火)〜2027年2月28日(日)に開かれるもの |
| 補助対象経費 | 出展料、小間装飾費、宿泊費及び交通費、パネル・のぼり作成費、ポスター・パンフレット作製費、輸送費、自社・商品PR用写真・動画コンテンツ作成費、翻訳費 |
| 補助率・上限 | 補助対象経費(税抜)の2分の1以内・上限20万円 |
| 申込の時期 | 原則として、展示会に出展する日の2週間前まで |
開拓する販路は国内に限らず、海外の展示会も対象にできますが、消費者向けの取引は対象外です。対象になる展示会は、年度を通して1つだけです。交付は1事業者に2年に1回で、令和7年度にこの補助金の交付決定を受けた事業者は対象外です。交付決定の前に出展の申込みをするときは、事前着手届(様式第2号)を出します。申込先は熊本市 経済観光局 産業部 経済政策課で、メールか郵送で提出します。
ものづくり企業なら:くまもと産業支援財団の販路拡大の支援

公益財団法人くまもと産業支援財団は、販路拡大の支援として、次の事業を行っています。
- ビジネスマッチング推進事業:県内のものづくり中小企業と、県内外の大手メーカーなどとの取引のあっせん、商談会の開催
- 展示会出展助成金事業:熊本県内に事業所がある中小企業等が、自社の製造品や情報成果物の販路拡大のために国内外の展示会に出るときの経費の一部の助成
- 展示会共同出展事業:年に一度、大都市圏の展示会に財団がブースを設け、出展の機会を提供
- 取引かけこみ寺相談対応事業:取引上の悩みの相談や、裁判外紛争解決手続(ADR)によるトラブルの解決
展示会出展助成金の助成率や上限は、財団の販路拡大のページには載っていないため、この記事には書いていません。その年度の募集の内容を見てから計画に入れます。
同じ取組に、2つの補助金は重ねて使えない

販路開拓の補助金は、同じ取組・同じ費用に重ねて使えません。どの補助金で何をするかを、申請の前に決めます。
- 熊本市の展示会等出展支援事業補助金は、同じ内容の事業で国・県・市町村が補助するほかの制度を使う場合や、国・県・市町村の委託事業で行う展示会に出展する場合は対象外です
- 持続化補助金の展示会等出展費は、国(国から補助金を受けたほかの機関を含む)から出展料の一部の助成を受けるものは対象外です
- 持続化補助金は、同じ補助事業(取組)について、国のほかの補助金を重ねて受け取ることはできません
時期にも気をつけます。持続化補助金の第20回は、採択の発表が2027年3月頃の予定で、補助の対象は交付決定のあとに発生した費用だけです。熊本市の第2回の対象は、2027年2月28日までに開かれる展示会です。2つの補助金を同じ時期の同じ展示会に組み合わせる形は、日程の上でも取りにくくなっています。
よくある質問
ホームページを作り直す費用だけで、持続化補助金を申請できますか?
できません。第20回の公募要領では、ウェブサイト関連費だけでの申請はできず、ほかの経費と一緒に申請することになっています。ウェブサイト関連費の交付申請額の上限は30万円(税込)です。
熊本県内で開かれる展示会に出るときも、熊本市の補助金は使えますか?
使えません。熊本市の展示会等出展支援事業補助金の対象は、熊本県外またはオンラインで行われる展示会・見本市・商談会などです。即売ができる展示会と、消費者向けの取引も対象外です。
補助金が決まる前に、展示会の出展を申し込んでもいいですか?
熊本市の補助金は、交付決定の前に出展の申込みをするときに事前着手届(様式第2号)を出す決まりです。持続化補助金は、出展の申込みは交付決定の前でも構いませんが、請求書の発行日や出展料の支払日が交付決定日より前になるものは対象外です。
事業を継いだばかりの後継者が使える、販路開拓の補助金はありますか?
熊本県の事業承継・後継ぎ支援事業補助金に、後継者が行う販路開拓や生産性向上の取組を支える「後継ぎ応援枠」がありますが、2026年度の2次公募は2026年7月31日に締め切られています。今から使える制度としては、持続化補助金や熊本市の展示会出展の補助金を検討します。
出典・参考
- 熊本県よろず支援拠点(支援の内容)
- 熊本県よろず支援拠点(アクセス・開設時間)
- 公益財団法人くまもと産業支援財団(販路拡大)
- 小規模事業者持続化補助金 第20回公募 公募要領(第8版)
- 小規模事業者持続化補助金 補助金スケジュール(第20回公募)
- 令和8年度(2026年度)熊本市展示会等出展支援事業補助金 第2回公募のご案内(熊本市)
- 熊本市展示会等出展支援事業補助金 令和8年度第2回 募集要項(熊本市・PDF)
- 令和8年度(2026年度)熊本県事業承継・後継ぎ支援事業補助金のお知らせ(熊本県)
まとめ
熊本で販路開拓を考えたら、売り方の相談はよろず支援拠点、ものづくり企業の取引先探しはくまもと産業支援財団、持続化補助金は地域の商工会・商工会議所が入口です。
補助金は、持続化補助金の第20回(11月5日受付開始・12月15日17:00締切、様式4は12月4日まで)と、熊本市の展示会等出展支援事業補助金(先着順・2027年2月12日まで)が、今の時期に使えます。どちらも同じ取組に重ねて使えない決まりがあり、時期も合いにくいので、どちらで何をするかを先に決めてから申請します。
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ノーサイド行政書士法人は、熊本の補助金申請を支援している行政書士法人です(経済産業省の認定経営革新等支援機関)。販路開拓の計画にどの補助金が合うか、申請の時期をどう組むかの整理から、お手伝いします。
