補助金の実績報告を出したあと、「事務局が現地を見に来ます」と連絡が来ることがあります。初めての事業者さんは、何を見られるのか、何を用意すればよいのかが分からず不安になると思います。この記事では、熊本で補助金を使った事業者さんに向けて、現地調査(実地検査)で確かめられることと準備しておくものを、事業再構築補助金の補助事業の手引きと交付規程をもとに説明します。ほかの国の補助金も、考え方はほとんど同じです。
この記事のポイント
- 現地に来る検査には、事業の途中の「中間検査」、実績報告のあとの「確定検査」、事業が終わったあとの「実地検査」があります
- 確定検査では、建物や設備が実際にあるか、支払いが済んでいるか、補助事業にだけ使っているかが確かめられます
- 見積書・注文書・納品書・請求書・振込の記録などの証拠書類は、原本で確認できるようにしておきます
- 補助金で買った設備を既存の事業に使うと「目的外使用」になり、返還を求められます
- 事業が終わったあとも、会計検査院や事務局が実地検査に来ることがあります
現地に来る検査は3種類ある

補助金で事業所に人が来る検査は、時期によって3つに分かれます。事業再構築補助金の補助事業の手引きでは、次のように書かれています。
| 検査 | 時期 | 何のためか |
|---|---|---|
| 中間検査 | 補助事業の実施期間中 | 物品の入手・支払・進み具合を確かめる |
| 確定検査 | 実績報告のあと | 補助金の額を確定するため、建物・設備・支払・成果を確かめる |
| 実地検査 | 事業の途中や、事業が終わったあと | 建物や設備が事業計画の目的どおりに使われているかを確かめる(事務局や会計検査院) |
これらの検査は、法律にもとづくものです。補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)第23条は、必要があるときは、補助事業者に報告をさせたり、職員が事務所や事業場に立ち入って帳簿書類などを検査し、関係者に質問したりできると定めています。事業再構築補助金の交付規程第20条も、事業所に立ち入って帳簿書類などを検査し、質問できること、補助事業者は協力することを定めています。
確定検査で確かめられること

実績報告のあとの確定検査では、事務局が必要に応じて事業の実施場所を訪れます。手引きでは、実績報告書の内容にもとづいて書類を検査し、建物や改修の詳細、機械設備などの入手・支払、補助事業の成果などを実際に確かめるとされています。
ポイントは次の3つです。
- 実物があるか:申請した建物・設備・システムが、申請した場所に、申請したとおりに入っているか
- 払い終わっているか:補助事業の実施期間中に、契約(発注)から支払までを終えているか
- 補助事業にだけ使っているか:使用実績があり、補助事業にのみ使っているか
手引きには、交付決定通知書で認められた経費であっても、補助事業以外に支出したものや、建物・機械装置などで補助事業以外の用途と共用したものは補助対象にならないと書かれています。システムやECサイトなどは、入れただけでなく実際に使っているかを見られるので、操作の担当者がその場で動かして見せられるようにしておきます。
用意しておく書類(原本で確認できるように)

確定検査では、経理の証拠書類の原本が確認できないと、補助対象にならない場合があります。手引きでは、次のような書類を整えて保管するよう求めています。
- 見積依頼書または仕様書の写し、見積書・相見積書
- 注文書・受注書、契約書
- 納品書、検収書(検収した年月日と立会者名が分かるもの)
- 請求書
- 銀行の振込金受領書または支払証明書(Web振込の場合は、支払い済みが分かる取引記録の画面コピー)
- 元帳(出納帳・預り金)
書類は、経費の区分別・物件別に時系列で並べておくと、その場で聞かれたものをすぐに出せます。当法人では、支払いの流れを口で説明できるように、振込に使った口座の通帳も手元に用意しておくことをおすすめしています。
証拠書類は、補助事業が完了した年度の終了後5年間保存することになっています。事業が終わったあとの実地検査でも同じ書類を見られるので、確定検査が終わっても捨てないでください。
補助金で買ったものを、既存の事業に使わない

現地調査で特に気をつけたいのが、目的外使用です。事業再構築補助金の手引きでは、補助事業で取得した資産は原則として専ら補助事業に使う必要があり、既存の事業など補助事業以外で使った場合は目的外使用と判断し、残存簿価相当額などを国に返納しなければならないとされています。
新しい事業のために買った機械を、繁忙期だけ既存の事業の仕事にも使う、新しい事業のために借りた場所に既存の事業の在庫を置く、といった使い方は、現地で見ればすぐに分かります。新しい事業の設備は新しい事業のためだけに使い、既存の事業に使っていると見られる置き方や使い方をしないことが大事です。
また、取得した財産ごとに見て50万円(税抜き)以上の建物や機械装置などは「処分制限財産」になり、処分制限期間が終わるまで管理しなければなりません。期間内に目的に反する使用、譲渡、貸付、廃棄などをするときは、事前に事務局の承認が必要で、承認を得ずに処分すると交付決定が取り消される場合があります。
事業が終わったあとも、検査はある

確定検査が終わり、補助金が入金されたあとも、検査が来ることがあります。手引きでは、補助事業の終了後にも、建物や機械装置などが事業計画の目的どおりに活用されているかを確かめるため、会計検査院や事務局が実地検査に入る場合があるとされています。
会計検査院の実地検査で見られるのは、手引きによると次のようなことです。
- 成果と処分制限財産の活用状況
- 補助金の使い道(経理の処理方法を含む)
- 事業化の時期、計画の内容・規模、収益の見通し
実地検査で不正や不当な行為が確かめられた場合は、交付決定の取消や、加算金を付けたうえでの返還になり、罰則や公表・告発の対象になることもあります。検査では検査員の指示に従い、返還などの指示が出た場合はそれに従う必要があります。事業が終わったあとも、補助金で入れた設備を事業計画どおりに使い続けていることが、いちばんの備えです。
よくある質問

現地調査には、誰が立ち会えばよいですか?
事業の内容と支払いを説明できる人です。代表者に加えて、システムや設備を実際に操作している担当者がいると、使っている様子をその場で見せられます。
確定検査が終わらないと、補助金は入りませんか?
入りません。補助金の額は確定検査を経て確定し、精算払いの請求は、確定検査を受けて補助金の額が確定したあとに行います。現地調査の日程の連絡が来たら、早めに書類と立会いの人をそろえて受けるのが、入金までの近道です。
実績報告に出した写真があれば、現地調査は来ませんか?
来ることがあります。手引きでは、確定検査は必要に応じて事業の実施場所を訪れて行うとされています。写真を出していても、実物を確かめに来ることがあると考えておいてください。
出典・参考
まとめ
補助金の現地調査(実地検査)で見られるのは、申請したものが実際にあるか、支払いが期間内に終わっているか、補助事業にだけ使っているか、の3つです。見積書から振込の記録までの証拠書類を原本で出せるようにしておき、システムや設備は実際に使っている状態で見てもらいます。
補助金で買ったものを既存の事業に使うと目的外使用になり、返還を求められます。事業が終わったあとも会計検査院の実地検査があり得るので、証拠書類は5年間保存し、設備は事業計画どおりに使い続けてください。
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ノーサイド行政書士法人は、熊本の補助金申請を支援している行政書士法人です(経済産業省の認定経営革新等支援機関)。申請だけでなく、実績報告や確定検査の準備、事業化状況報告まで続けてお手伝いしています。
